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私達は、ジリジリと後退し、
振り向き様に、脱兎の如く逃げ出した。
追いかけてくる主人。
最初に友達が捕まった。
友人の叫び声に私も止まり、観念して戻る。
主人は怒っていた。
素直に認めて、謝るなら見逃そうと思っていたが
逃げるとは…勘弁できない。親に連絡する。
そう私達に説明して、店に連れていかれた。
親に連絡という事態に、初めて恐怖を覚えた。
怒られる。どうしよう…。
頭の中をグルグル回る。
程なくして、友達の母親が店にやってき、
主人に対し、丁寧に謝罪して、
泣きじゃくる友達を引き連るようにして帰っていった。
私の家には、祖母しかおらず、
少し時間がかかった。
祖母が、文房具店の引き戸を開けた時、
それまで出なかった涙が溢れてきた。
店の主人は、再度状況を説明し、
家庭できちんと教育するようにと、念を押した。
祖母も丁寧に謝罪し、私の手を握って店を出た。
普段、この道を祖母と歩く時は、
先の神社まで散歩コースになっていたので
会話や笑顔が溢れる道のりだったのだが、
その時は、終始無言であった。
帰宅すると、祖母は大きな溜息をつき、
なぜ、万引きなんてことをしたのかと問われた。
私は、返答できない。
友達がしたから、私もした。
別にガムやチョコが欲しかったわけでは無い。
良くない行為だという認識はあったが、
出来ないとも思わなかった。
この気持ちを正直に話すことはできなく、
ただ俯いて、泣く。
母が帰宅すると、私の部屋にやってきて
やはり理由を聞かれた。
暫く考えてから
「ガムが欲しかったから…」と、答えた。
母の目から涙が零れる。