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暫くして、インターホンが鳴り、鍵が開く音が聞こえた。
片手にスーパーのビニール袋を持ったパパが入ってくる。
私と目が合うと、
「今日は、鍋にするから。出来たら呼ぶのでテレビでも見てなさい」
と、笑ってるのか戸惑ってるのかわからない表情で言った。
私は言われたとおり、足を抱えてテレビを見る。
用意が出来たという声で、ダイニングに向かい
自分の席に座ると、
ババは、土鍋から私の分を取り分けてくれた。
「いただきます」
消えるような声で食事を始める。
美味しかったかどうかは覚えていない。
殆ど会話無く、必死でたくさん食べたことだけ覚えている。
母が食事を作ると
「たくさん食べてくれると、嬉しい」と言ってた事を思い出して。
限界まで食べ、母に言われたように眠ることにした。
パパは「おやすみ」とだけ言った。
翌朝、目が覚めると隣で母が眠っていた。
パパの姿はもうなかった。
私は安堵した。
『おじいさんがしたようなことは、されなかった』
『ママみたいにも、されなかった』
思春期を過ぎる頃までは、
男性に対して、過剰反応していました。
多数で会ってる時は意識しなくても
二人になると言い知れない緊張感を持って接し、
そういった態度は相手に不信感を与え
理由を知るはずの無い相手は、戸惑う。
当然だと思います。
ごく普通の仲間同士の会話やスキンシップにも
おどおどと対処されてれば、場がシラける。
少しづつ友人との距離を感じてくる。
倦厭されれば、自分に自信が無くなり
一層内向的な振る舞いをしてしまう。
思春期と呼ばれる時期はこういった悩みでいっぱいでした。
「意識し過ぎ、肩の力ちょっと抜けって」
学生時代に、私を救ってくれた言葉ですが
この話は、後に話したいと思います。
私は現在でも、ある意味男性が恐いです。
恐がっている自分を悟られないように、普通を装う。
普通を装えば、
自分の中の闇に怯えずに済むから。
自分の闇が、他人と異なるものでないと信じたいから。
ずっと以前であるこの頃でも、
まだ6歳にも満たない幼い子供なのに
異性に対しての恐怖心を持っていました。
なので、母の恋人であるパパが
自分に感心がないことが何より嬉しく思えたのです。
そのくせ、人から嫌われるのが恐い。
臆病で不器用な私の話の続きを聞いてください。
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